ハン・ガンさんは、1970年に韓国・光州で生まれた小説家です。
延世大学国文学科を卒業し、1993年に詩を発表、翌年に短編小説「赤い碇」で作家としてデビューしました。
主な受賞歴としては、2005年に『菜食主義者』で李箱文学賞を受賞し、同作は2016年にアジア人として初めてブッカー国際賞も受賞しました。
また、2024年にはアジア人女性として初めてノーベル文学賞を受賞しています!
ハン・ガンさんの作品は、歴史的なトラウマや人間の暴力性、脆さ、そして希望といった普遍的なテーマを、詩的で実験的な文体で描いている点が評価され、人気を集めています。
作家ハン・ガンさんの作品は?【あさイチで紹介】
代表作には、以下のものが挙げられます。
1.『菜食主義者』
簡単な紹介:
ある日突然、肉を一切食べなくなった女性ヨンヘ。その奇妙な行動が、夫や家族の生活を狂わせていきます。ヨンヘの菜食主義の背景にある幼少期のトラウマや、人間社会に潜む暴力性が、3つの異なる視点から描かれています。
読者の感想:
• 「なぜ彼女が菜食主義になったのか、明確な答えが提示されないまま話が進む。その余白が、読者に深い想像力を掻き立てる。」
• 「家族の無理解や抑圧、暴力性が静かに、しかし生々しく描かれていて胸が痛んだ。一方で、ハン・ガンさんの詩的な文章が、重いテーマにもかかわらず美しさをもたらしている。」
• 「読み進めるうちに、主人公の精神世界に引き込まれていく。単なる菜食主義の話ではなく、人間の根源的な苦しみや、そこから解放されたいという願いが感じられた。」
2.『少年が来る』
簡単な紹介:
1980年に韓国で実際に起きた光州事件を題材にした小説。民主化を求める学生や市民が軍によって武力弾圧された悲劇を、死んでしまった少年の視点や、生き残った人々の視点から描いています。
読者の感想:
• 「読むのが辛くなるほど、暴力と悲しみがリアルに描かれている。特に、殺された少年が自身の腐敗していく死体を語る章は、言葉を失うほどの衝撃だった。」
• 「歴史的事実を伝えるだけでなく、その事件によって心に深い傷を負った人々の苦しみや、忘れられない記憶を丁寧にすくい取っている。これは単なる記録ではなく、鎮魂歌だ。」
• 「重い内容でありながら、ハン・ガンさんならではの静謐な文体が、かえって痛みを深く心に刻みつける。人間の残酷さと同時に、尊厳や希望も感じられる。」
•3.『ギリシャ語の時間』
簡単な紹介:
ある出来事をきっかけに言葉を失った女性が、視力を失いつつあるギリシャ語講師から個人授業を受ける物語。言葉と視覚、それぞれの感覚を失っていく二人を通して、人間が「生きる」ことの本質を問いかけます。
読者の感想:
• 「言葉を失った女性と視力を失いつつある男性。互いの内面に深く入り込むことはないが、その孤独な魂が交差する瞬間が静かに、そして美しく描かれている。」
• 「難解なテーマのように感じたが、詩的で繊細な文章のおかげで、すっと心に入ってきた。特に、主人公が感じている世界の描写が印象的。」
• 「結論や救いがないまま終わる。その『未解決』な感じが、読者に様々なことを考えさせる。生きづらさを抱えている人にこそ響く作品だと思う。」
4.『すべての、白いものたちの』
簡単な紹介:
生まれてわずか2時間で亡くなった姉の存在をめぐり、白いものにまつわる様々な記憶や感情が綴られた短編小説集(散文詩集)。「白」という色をキーワードに、生と死、喪失、そして生命の儚さと強さが描かれます。
読者の感想:
• 「物語というよりは、詩やエッセイに近い感覚。短い文章の中に、深い悲しみや喪失感が凝縮されている。」
• 「『白』という色からこれほどまでに様々なイメージや感情が湧き上がってくることに驚いた。まるで水墨画を見ているような、静かで厳かな雰囲気。」
• 「作者の個人的な悲しみが、普遍的なテーマへと昇華されている。言葉一つ一つが美しく、何度も読み返したくなる作品。」
5.『別れを告げない』
簡単な紹介:
済州島4・3事件という、韓国の歴史に埋もれた悲劇を背景にした小説。小説家のキョンハが、友人からの頼みで済州島を訪れたことをきっかけに、雪の中に隠された事件の記憶と、生き残った人々の痛みに向き合っていきます。
読者の感想:
• 「恥ずかしながら、この事件のことを知らなかった。小説を通して、歴史の痛みを肌で感じることができた。まさに、風化させてはならないという強いメッセージを感じる。」
• 「雪の描写が素晴らしく、静謐な世界観を作り出している。その幻想的な雰囲気の中で、残酷な過去が少しずつ明らかになっていく展開に引き込まれた。」
• 「歴史的な出来事を描いているが、その根底にあるのは『再生』の物語。痛みを抱えながらも、未来へ向かっていく人々の姿に感動した。」
この動画は、ハン・ガン氏のノーベル文学賞受賞を報じるものです。